あなたはどっち? コンピュータorコンピューター
コンピュータとコンピューター、あなたは普段どちらを使っていますか?正しい日本語表記はどちらだと思いますか?
文化庁の「外来語の表記」ルールによると、「英語の語末の ‐er、‐or、‐ar などに当たるものは、原則として長音符号「ー」を使って書き表すとしていますが、慣用に応じて「ー」を省くことができるともしています。
つまり、原則「コンピューター」ですが、どちらでも良いということですね。
文化庁が令和5年度に行った「国語に関する世論調査」では79.5%の人が「コンピューター」と書くと答えています。年齢による差はあまりないようです。
ちなみに皆さんの年代である16~19歳の場合「コンピュータ14.5%」「コンピューター77.1%」「どちらも同じくらいの割合8.4%」でした。(出典:文化庁ホームページhttps://www.bunka.go.jp/)
国内の主要新聞社や放送局は文化庁のルールにあわせて「コンピューター」と長音符号「ー」をつけて表記していますので、「コンピューター」の方が「見慣れている/聞きなれている」ことが数字に表れているのかもしれません。
このように一般的には「コンピューター」と表記することが多いようですが、工学・技術系では慣用的に「コンピュータ」表記が使われています。
その影響か、学校名や学科名には「コンピュータ」の表記が多いようです。
うろ覚えの学校を、「〇〇コンピューター専門学校」で検索しても出てこない場合など、「コンピューターをコンピュータに変える」と見つかることもあるかもしれません。ここでは「コンピュータ」表記を基本とします。

コンピュータを使った仕事はたくさんある

コンピュータ関連の仕事は、数多くあります。
情報処理システムの設計・開発、維持・管理を行うIT系の仕事、ゲーム制作・Webページデザインなどに代表されるマルチメディア系の仕事に大きく分類できますが、それぞれの分野内でも多くの仕事に細分されます。
養成校でも、IT系は能力を証明するために「資格取得」に力を入れているのに対し、マルチメディア系は知識や技術だけでなく創造性などの感性が重要視されるため、「作品(オリジナルのゲームやWebページなど)」の制作を重視している学校が多いようです。すべての仕事は紹介しきれませんが、コンピュータを使った主な仕事を幾つか見てみましょう。

SE(システムエンジニア)
システムエンジニアの仕事は、ソフトウェアやアプリケーションの設計を行う仕事です。経理ソフトなどの汎用ソフトウェアや、クライアントの「こんなソフトがあると便利」という要望に応じたオーダーメイドソフトウェアの設計書を作成したりします。SEが実際のプログラミング作業を行うことはあまりありません。プログラマーとして経験を積んだ後にSEにステップアップすることが多いので、プログラマーとしての力も必要ですが、顧客の業務の効率化を実現するにはどんなシステムを開発すればいいかを考える「論理的なものの考え方」ができることが一番に求められます。
プログラマー
SEの作った設計書を基に、プログラマーが実際にプログラムを組みます。例えば「労働時間の管理ができるソフトウェア」が欲しいという顧客の要望に対し、SEが「出勤時間と退社時間を入力すれば月ごとの労働時間が自動的に計算されるソフトウェアを組む」と概略を決め、それを「プログラム言語を使って形にする」のが、プログラマーの仕事になります。
システムアドミニストレータ(システム管理者)
コンピュータを利用した業務システムを企画・立案、運用、改善する仕事です。コンピュータネットワークシステムの導入からトラブル対応・セキュリティ管理まで業務範囲は幅広く、重要な業務と言えます。
AIエンジニア(データサイエンティスト)
Webページを見ていると「あなたに適した〇〇」といった広告が表示されることがあります。これはAIがあなたのよく見るページの傾向から興味のある分野を判断し、関連の広告を表示しているからです。AIエンジニアは「大量のデータを集める→共通点を見つける→共通点に近いもの・遠いものを分類する」などの機械学習をコンピュータに行わせる技術者です。AIはまだ研究中の最先端技術であり、顔認証、病気の画像診断、自動車の自動運転、機器の異常や障害の検知など、広範な分野で研究開発が進んでいます。そのため、海外の研究からの情報収集やAI技術の研究開発などが業務となる場合もあります。
カスタマーエンジニア
OA機器などのセッティングや保守・点検、修理などを担当する仕事です。メーカーや販売会社に所属し、導入先である企業を訪れて現場で作業をします。機器のトラブルの際には現場に急行し、原因を探って、修理や機器の交換などを行います。取り扱う製品やサービスに関する専門知識・技術が求められます。ソフトウェアだけでなくハードウェアやネットワークに関する知識も必要になります。
Web系

webディレクター
webアプリケーションやwebサイト開発などのプロジェクト管理者です。通販サイトのシステムを開発したり、ブラウザゲームを作成したりします。スケジュール管理、顧客との打ち合わせ、品質管理など、全体の司令塔としてプログラマーやデザイナーに指示・管理する役割を担います。
webプログラマー
webディレクターの指示を受け、プログラムを作成する仕事です。web系は一般のプログラミング言語とは違った言語を習得する必要があります。具体的にはPHPやJAVA、javascriptなどを学ぶ必要があります。
webデザイナー
webサイトのデザインを考えるのが主な仕事になります。webディレクターの指示を実現させるために「Illustrator」や「Photoshop」などのグラフィックソフトを使い、サイトをデザインします。ナビゲーション用のボタンの配置やリンクの構成・サイト全体の配色など、ユーザーの使いやすさを考えながらデザインする必要があります。
ゲーム系

ゲームディレクター
ゲームを企画し、開発の指揮を取る仕事です。スケジュールを決定し、チームメンバーに仕事を割り振り、進捗の管理や仕様変更への対応などの管理をします。最近のゲームは発売後にアップデートを繰り返すことも多く、どのタイミングでゲームをリリースするのか決定するのもゲームディレクターの仕事になります。
ゲームデザイナー(ゲームプランナー)
ゲームディレクターなどの方針に従い、世界観や演出の方向性、キャラクターやアイテムのデザインなどのゲームの基本設計を行います。ゲームの細かい仕様が決まったら、プログラマーやグラフィックデザイナー、シナリオライターなどのスタッフと協力しながら実際にゲームを作っていきます。
ゲームプログラマー
C++やC#などのプログラミング言語を使ってゲームの開発を行います。ゲームといってもスマートフォン用のアプリケーションや家庭用ゲーム機向けのゲームなど多種多様であり、必要な技術はそれぞれ異なります。ゲームプログラマーはプランナーの作成した設計書の内容に従ってゲームのシステムをプログラミングしていきます。
ゲームグラフィッカー(CGデザイナー)
ゲームのコンセプトや世界観に沿ったCGを制作する仕事です。イメージを形にする芸術的なセンスが必要になります。日頃から観察力・発想力を磨き、アイデアを蓄積して豊かな表現力を身に付けるよう努力が必要です。
ゲームサウンドクリエイター
場面の雰囲気を表したBGMや、何が起きたかわかる効果音など、ゲームの音源全般を制作し、プレイヤーのゲームへの没入度を高めます。ゲームサウンドクリエイターは、たくさんの「音のイメージ」を持ち、そのつど必要とされるサウンド・イメージを、的確に作りだす仕事です。これまでになかった、新奇性のある「音」をつくる意欲も重要ですね。
※Webやゲームに関わる仕事には美術・デザイン系、音楽・音響系の仕事もあるため、美術系、音楽系の学校で学んで、仕事に就くケースもあります。
「AIが人間の仕事を奪う」という話を聞いたことはありませんか?

AI(Artificial Intelligence)」は「人工知能」と訳されます。簡単に言うと、コンピュータが与えられたデータを基に自分で判断して結論を出すことができる技術のことを指します。一般のIT技術の場合、コンピュータは自分で判断はしません。与えられたデータに対し、あらかじめ決められた条件に応じて対応するだけです。
AIはスマートフォンの音声認識のほか、自動車の自動運転、産業用ロボット、画像処理の分野など、幅広い分野に普及しつつあり、それに伴い人間に代わってAIに仕事を任せる(AIが人間の仕事を奪う)という可能性が問題視されるようになってきました。特にデータの入力・分析、製造業の組立作業、物流業の倉庫作業などの単純作業は、一部ではすでにAIによる自動化が始まっています。
また、医療分野においても病気の画像診断などは、AIの方が人間より高い精度で病気を発見できるところまで進歩しているといわれています。
AIは大量のデータをパターン化し、分類・抽出することは得意ですが、新しいヒラメキを生み出すことは得意ではないため、芸術系などのクリエイティブな仕事や保育・教育などの対人サービス、交渉能力が求められる営業や外交、研究開発職などはAIに代替されにくい仕事だといわれていました。
しかし、2022年に発表された対話型AI“ChatGPT”を契機にテキスト、画像、音声などを自律的に生成できる「生成AI」がこれら、クリエイティブ、ヘルスケアなどの分野にも進出してきています。
「生成AIが役に立つかどうかといった議論をしている段階ではなく、 使わなければ競合企業にあっという間に何倍の差がつけられるようなことが起こりうる転換点であり、既にソフトウェア産業においては、生成AIにより圧倒的な生産性の向上が実現されている(2024年3月東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の今井翔太氏のインタビュー 出典:総務省令和6年版情報通信白書)」といった意見もあるほど、生成AIの登場は大きなインパクトを残しました。
それに伴い、AI技術者の需要も高まっていくことでしょう。

生成AIの活用と問題点

生成AIの市場規模は2022年から2027年の5年間で90億ドルから1,200億ドルに急成長するという予測(出典:ボストン コンサルティング グループ 「The CEO’s Roadmap on Generative AI(2023年3月)」)もあり、メタバース(仮想空間)、ロボティクス、自動運転技術などの分野へのAIの進出はますます加速していきそうです。
今、日本は人員不足と言われていますが、生成AIの活用に関して企業に聞いた総務省のアンケート(2024年)によると、「活用する方針を定めている」と答えた企業は約43%で米独中3国の約半分でしかありません。
また約75%の企業が「業務効率化や人員不足の解消 につながると思う」と回答している反面、約70%の企業が「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクが拡大すると思う」「著作権等の権利を侵害する可能性があると思う」と回答しており、生成AIのリスクを懸念していることがうかがえます。
一方で、「不適切なデータや偏ったデータを学習に使用することで予測の信頼性が低下する」「生成AIは事実に基づかない誤った情報をもっともらしく生成することができる」「偽画像及び偽動画といった偽・誤情報を鵜呑みにしてしまい、情報操作や世論工作に使われることがある」などのAI・生成AIの普及に伴うリスクも顕在化してきています。
日本の例としては「2022年9月、大型の台風15号が上陸した際に、静岡県で多くの住宅が水没したとする偽画像がTwitter(現X)で拡散」「2023年11月、岸田文雄首相が性的な発言をしたように見せかける偽動画がソーシャルメディア(SNS)上で拡散」などがあげられます。
また、「生成AIの学習に関連する著作権や肖像権の侵害」は国際的に問題視されており、多くの訴訟が発生しています。
出典:総務省令和6年版情報通信白書

超初心者向けコンピュータ用語5選

アプリケーション
建築士と混同されそうな建築デザイナーですが、建築士が建物の構造や設備を設計するのに対し、建築デザイいわゆる「アプリ」のこと。カレンダー/電話帳/電子メールなど、様々なものがある。
Word(ワープロ)・Excel(表計算)などが有名。ちなみにゲームもアプリケーションのひとつ。
後述のOSと比較して応用ソフトとも呼ばれる。
アプリケーションとソフトウェアは基本的に同じものを指すが、アプリケーションはOSを含まない呼称。ナーは依頼主の要望を聞き、建築物の外観や内装などをデザインする「意匠設計」を担当します。建築デザイナーになるための資格は特にありませんが、建築士が構造設計から意匠設計まで任されることもあるので、建築士の資格を取得していた方が有利といえます。デザイン系の学校でも建築士の資格が取れる学科があるので、調べてみても良いでしょう。
OS(オーエス)
オペレーティングシステム(Operating System)の略。
パソコンだとWindows・MacOS、スマートフォンだとAndroid、iOSが一般的。他にもネットワーク環境で作動するChromeOSも、デジタル教育の現場などで使われてる。
・マウスを動かすとカーソル(矢印マーク)が動く。
・ファイルにデータを保存する。
など、アプリケーション(ソフトウェア)に関係なく動作するパソコンやスマートフォンの基本的な動きを制御する。基本ソフトとも呼ばれる。
VR(ブイアール)
バーチャル リアリティー(Virtual Reality)の略。日本語訳は「仮想現実」。
コンピュータによって作られる仮想3D空間のこと。VRヘッドセットを使った没入型ゲーム体験や観光地への仮想ツアーなどのエンターテインメント関連事業が普及を牽引している。最近では「危険を伴う作業を安全な仮想空間で練習する」など、教育・医療等の分野にも広がりを見せている。
よく似たものにAR(拡張現実)があるが、こちら現実にデジタル情報を重ね合わせて表示するもの。わかりやすい例をあげると「ポケモンGO」がARを活用したゲーム。
ブラウザ(browser)
インターネットでWEBを閲覧するために使うソフトウェアのこと。つまり今あなたがこのページを見るのに使っているのが「ブラウザ」。
「Microsoft Edge」「Google Chrome」「Safari」「Firefox」「Opera」などが比較的よく使われている。
URL(ユーアールエル)
ユニフォーム リソース ロケーター(Uniform Resource Locator)の略。簡単に言うとインターネット上の住所。
https://shinro-kimochi.com/jobpage/itwebgame (このページ)の場合
https:// 通信手段(http://とhttps://が代表的。httpsと「s」がついていると「データ暗号化機能で個人情報を保護している証明になる。
ネットショップなど個人情報保護が必須のページは、ほとんどがhttps://。
shinro-kimochi ページ名(「高校生のキモチ。」のトップページの名称)
.com ページ運営団体の種類。「.com」はもともと商業団体向けだったが、今では一般向けに開放されているので、団体の種類は限定できない。わかりやすいものとしては「co.jp(日本の企業)」「ac.jp(日本の学校)」「go.jp(日本の政府機関)」などがある。
jobpage/itwebgame 「お仕事&学び紹介の中のIT・Web・ゲーム業界のいろいろな仕事のページ」という意味。
おまけ情報
Python(パイソン)
最近注目のプログラム言語。文法がシンプルでわかりやすいため、初心者でも習得しやすい言語だといわれている。ロボットの制御から画像認識、Webページの開発、AIの機械学習など汎用性も高い。